DAYS JAPANフォトジャーナリストスクールの卒業生達が自らの視点で世相を斬ります


by photopanda
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コカのもつ意味


ボリビア滞在中の前田です。
ユンガス、チャパレという2つのエリアで、コカに関する取材を行いました。
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ボリビアでは、コカの葉っぱをそのまま噛んだり、薬やお茶として日常的に摂取していて、日常生活の必需品、切っても切り離せないものです。
3000年前、インカの時代からアンデス地域ではコカが栽培されていたそうで、空腹・病気・疲労の際に摂取することで、脳内の酸素を活性化させそれらを軽減する働きがあると同時に、宗教的・文化的シンボルでもあります。

一方、コカに含まれるアルカロイドという成分は、コカインの原料でもあります。
主に前々政権時代、アメリカが大量の資金を投入した「Option Zero」や「The Dignity Plan」という政策がとられ、Law1008という法律のもと、コカ栽培自体が基本的に禁止されます。




ユンガスは、Law1008で唯一コカ栽培を認められた地域です。
コカの発祥がこの地域であるといわれているからだそうですが、最近までアメリカ麻薬取締局(DEA)の職員が情報収集にきていたので、「外国人にコカに関する情報を与えないように、コカを自分の子供のように育てるように」とエボ大統領に言われているそうです。


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ユンガス谷の急斜面に植えられるコカはほかの地域のそれに比べ、葉っぱが小さくて甘く、またアルカロイドを多く含まないので、良質なものとされています。

この農場ではコカのほかにコーヒー、バナナも栽培されていましたが、農場主のAlbertさん曰く、「コカは私たち家族の生きる糧。コカなしでは子供を学校に通わせられない。」とのことでした。


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収穫されたコカの葉は、庭先のビニールシートの上で3時間ほど乾燥させた後、近くの街へと運ばれます。



対して、ラパスから車で10時間程度のチャパレ(エボ大統領が昔コカ栽培をしていた場所。彼はチャパレでコカ撲滅政策反対行動のリーダーとして政治の舞台に上がりました。)は、DEAとの激しい抗争があり、人々が「コカを栽培しているから」というだけで殺され、投獄され、拷問された場所です。
DEAはまず、コカ栽培者たちに資金援助をし、コカをバナナやコーヒー等ほかの作物に代替するよう求めました。これによりコカ栽培をやめた農家もいましたが、コカなしでは生活していけません。コカは3,4カ月に一度、年に4回収穫できるうえ、市場が大きいので効率よく利益を得ることができますが、ほかの作物は年に1回しか収穫できず、その上「あんまり売れない」のだそうです。そして目標数のコカ栽培を減らすことのできなかったDEAは、暴力に訴えはじめます。1980年代から2003年にかけて、この地域だけで160人もの人々が米軍により殺されました。


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エボ大統領がコカを栽培していたとき住んでいたPuerto San Fransiscoというチャパレの村。雨期である11月から2月にかけては、洪水が頻発するそうです。



ボリビアにとってコカは、アメリカへの抵抗のシンボルでもあるのです。



(前田)
by photopanda | 2009-12-22 02:11 | ボリビア