パヤタスのスカベンジャー
2010年 03月 05日
神木です。前回に引き続き、マニラからの報告です。
スモーキーマウンテンは閉鎖され埋め立てられた。それでは、約1200万人のマニラ市民が毎日出しているゴミはどこへいっているのか?
・スカベンジャーの集落(以下、写真は全てパヤタス)
現在マニラ中から集められるゴミはいくつかの投棄場に分けられ捨てられている。その中で最も多くの廃棄物が棄てられている場所が、マニラのケソン市にあるパヤタスだ。1960年代頃から廃棄物処分場としてゴミの集積が始められ、現在1日約2500トンの廃棄物が分別されることなく棄てられている。南北2つの小高い山を投棄場として使用していることから、「スモーキーバレー(煙の谷)」とも呼ばれている。そしてその谷に、現在もゴミを拾い生活しているスカベンジャー達の姿があった。スカベンジャーとは、ゴミを生活の糧とする貧困層の人々のことです。
・ゴミを拾う少年
2つの山の裏手に寄り添うように、スカベンジャーの集落があった。スモーキーマウンテンに住んでいたスカベンジャーは、そのほとんどがこのパヤタスに移り住んだのだ。
パヤタスの環境は、非常に劣悪と言わざるを得ない。 一帯はゴミから発生するダイオキシンなどの臭気に満ちており、暑さと臭気で目眩がする。 集落の中心を流れる小川はゴミにまみれ、灰色の水がゆっくりと流れていた。およそ人が生活している場所とは思えず、衝撃的な光景だった。結核、破傷風、デング熱などの病気も蔓延しており、栄養失調で亡くなる子どももいる。ここでは学校へ行けないどころか、生きていくことも難しい。
・パヤタスのゴミ山
2002年から、15歳以下の子どもがスカベンジャーとして労働することが法律で禁止された。それはおそらく、パヤタスで発生した事故と無関係ではないだろう。2000年7月、パヤタスにあるゴミ山の一つが崩落した。約500軒のバラックが下敷きになり、公式に確認されただけで死者は234名。実際は400名とも800名とも言われている。救出作業が困難を極め、捜索が10日ほどで打ち切られたためだ。ゴミ山の斜面が急すぎたこと、台風の雨が一週間以上も降り続いたことが崩落の原因とされている。この惨事の後パヤタスは一時閉鎖されたが、マニラの廃棄物を処理しきれず危機的な状況に陥ったため、2001年から再開され現在に至っている。
・ゴミだらけの小川に立つ子ども
このような惨事が起こり、スカベンジャーとしての労働が禁止された今でも、多くの子どもがゴミを拾い集めているのが現状だ。警備員が常駐しているため山の上には登らず、主に山の麓で換金できそうなものを探している。大人のスカベンジャーでも一日の収入は50ペソから100ペソ(約100円から200円)と言われている。フィリピンの法廷最低賃金は、400ペソ(約800円)だ。
誰もが皆、生活していく中で必ずゴミをだす。そしてフィリピンでは、そのゴミに頼って生きている人たちがいる。まず解決しなければならないことは、ゴミ山をなくすことではない。人々がゴミに頼らずに生きること、スカベンジャーの自立である。放っておけばこの貧困はどこまでも広がり、人間の生活をどこまでも深く貶めていく。我々は、この世界の貧困に目を背けてはいけない。
私が出している今日のゴミが、明日誰かの貧困につながっている。
<神木>
スモーキーマウンテンは閉鎖され埋め立てられた。それでは、約1200万人のマニラ市民が毎日出しているゴミはどこへいっているのか?
・スカベンジャーの集落(以下、写真は全てパヤタス)
現在マニラ中から集められるゴミはいくつかの投棄場に分けられ捨てられている。その中で最も多くの廃棄物が棄てられている場所が、マニラのケソン市にあるパヤタスだ。1960年代頃から廃棄物処分場としてゴミの集積が始められ、現在1日約2500トンの廃棄物が分別されることなく棄てられている。南北2つの小高い山を投棄場として使用していることから、「スモーキーバレー(煙の谷)」とも呼ばれている。そしてその谷に、現在もゴミを拾い生活しているスカベンジャー達の姿があった。スカベンジャーとは、ゴミを生活の糧とする貧困層の人々のことです。
・ゴミを拾う少年
2つの山の裏手に寄り添うように、スカベンジャーの集落があった。スモーキーマウンテンに住んでいたスカベンジャーは、そのほとんどがこのパヤタスに移り住んだのだ。
パヤタスの環境は、非常に劣悪と言わざるを得ない。 一帯はゴミから発生するダイオキシンなどの臭気に満ちており、暑さと臭気で目眩がする。 集落の中心を流れる小川はゴミにまみれ、灰色の水がゆっくりと流れていた。およそ人が生活している場所とは思えず、衝撃的な光景だった。結核、破傷風、デング熱などの病気も蔓延しており、栄養失調で亡くなる子どももいる。ここでは学校へ行けないどころか、生きていくことも難しい。
・パヤタスのゴミ山
2002年から、15歳以下の子どもがスカベンジャーとして労働することが法律で禁止された。それはおそらく、パヤタスで発生した事故と無関係ではないだろう。2000年7月、パヤタスにあるゴミ山の一つが崩落した。約500軒のバラックが下敷きになり、公式に確認されただけで死者は234名。実際は400名とも800名とも言われている。救出作業が困難を極め、捜索が10日ほどで打ち切られたためだ。ゴミ山の斜面が急すぎたこと、台風の雨が一週間以上も降り続いたことが崩落の原因とされている。この惨事の後パヤタスは一時閉鎖されたが、マニラの廃棄物を処理しきれず危機的な状況に陥ったため、2001年から再開され現在に至っている。
・ゴミだらけの小川に立つ子ども
このような惨事が起こり、スカベンジャーとしての労働が禁止された今でも、多くの子どもがゴミを拾い集めているのが現状だ。警備員が常駐しているため山の上には登らず、主に山の麓で換金できそうなものを探している。大人のスカベンジャーでも一日の収入は50ペソから100ペソ(約100円から200円)と言われている。フィリピンの法廷最低賃金は、400ペソ(約800円)だ。
誰もが皆、生活していく中で必ずゴミをだす。そしてフィリピンでは、そのゴミに頼って生きている人たちがいる。まず解決しなければならないことは、ゴミ山をなくすことではない。人々がゴミに頼らずに生きること、スカベンジャーの自立である。放っておけばこの貧困はどこまでも広がり、人間の生活をどこまでも深く貶めていく。我々は、この世界の貧困に目を背けてはいけない。
私が出している今日のゴミが、明日誰かの貧困につながっている。
<神木>
by Photopanda
| 2010-03-05 17:15
| フィリピン